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最近、「胸の奥が熱い」「酸っぱいものが上がってくる」と感じたことはありませんか?
その症状、もしかすると「逆流性食道炎(GERD)」かもしれません。
胸やけや胃もたれなどはよくある不調のひとつですが、実は胃や食道のがんなど、重篤な病気が隠れている場合もあるため、繰り返すようであれば注意が必要です。
逆流性食道炎は、胃酸などの消化液が食道に逆流して炎症を起こす病気で、近年は中高年層だけでなく、若い方や女性にも増えています。
生活習慣やストレス、体質が影響することも多く、症状の現れ方には個人差があります。
なぜ起こる? 逆流性食道炎の原因と仕組み
逆流性食道炎は、胃の中の胃酸や食べ物が食道へ逆流してしまうことで起こります。
胃の内容物は本来、下部食道括約筋という筋肉で逆流しないように保たれています。しかし、これが何らかの理由でゆるんでしまうと酸性の胃液が食道の粘膜を刺激し、胸やけなどの症状が出るのです。
逆流を引き起こす主な要因には、次のようなものがあります。
脂っこい食事・過食・早食い
飲酒・喫煙・カフェイン・チョコレート
肥満や加齢による腹圧上昇
食後すぐに横になる・猫背での長時間作業
妊娠・便秘・ストレス
薬剤(血圧薬・睡眠薬・抗不安薬など)
食道裂孔ヘルニア(胃が食道側にずれてしまう状態)
こうした要素が複合的に関与することで、食道に炎症が起こり、慢性的な症状につながることがあります。
胸やけだけじゃない? 逆流性食道炎の代表的な症状
逆流性食道炎というと「胸やけ」の印象が強いですが、実際には以下のようにさまざまな症状がみられることがあります。
代表的な症状には
胸やけ(胸の奥がジリジリ熱い感じ)
呑酸(どんさん)(酸っぱい液体や胃液が喉まで上がってくる)
喉の違和感・声のかすれ
慢性的な咳・咳払い(特に夜間や横になると出やすい)
みぞおちの不快感や胃もたれ
食後の膨満感
就寝中や朝方の咳、喉のヒリヒリ感
などがあります。
これらの症状は、必ずしもすべての人に当てはまるわけではありませんが、複数の症状が重なることで日常生活に支障が出る方も多くいらっしゃいます。
また、胃カメラ検査で粘膜の炎症が確認される人もいれば、異常が見つからない人もいます。
症状はあるのに内視鏡では異常が見つからないタイプは、「非びらん性逆流性食道炎(NERD)」と呼ばれます。
NERDの方でもつらい症状が続くケースは多く、適切な治療や生活改善が必要です。
治療の基本は、生活改善+薬物療法
逆流性食道炎の治療は、生活習慣の見直しと薬物療法が基本です。
生活習慣の見直しポイント
食後すぐに横にならない
夕食は寝る3時間前までに済ませる
脂っこい食事や早食い、過食を避ける
締めつけの強い服装を避ける
枕を少し高くする(頭を上げて眠る)
体重を適正に保つ
アルコール、タバコ、カフェイン、チョコレートのとりすぎに注意
薬による治療
PPI(プロトンポンプ阻害薬)
P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)
H2ブロッカー
制酸薬・粘膜保護薬など
症状の強さや持続期間、内視鏡検査の結果などをもとに、薬を調整していきます。
当院での逆流性食道炎の診療について
当院では、逆流性食道炎が疑われる患者さまに対し、まずは問診と診察を行います。
現在の症状や頻度、生活背景を詳しくお聞きします
胃酸の逆流を引き起こしやすい生活習慣や体質を評価します
必要に応じて以下のような検査を行います
検査の例
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
→ 食道や胃の粘膜の炎症、びらんの有無を確認
→ 胃がん・食道がん・通過障害の有無も含めて評価ピロリ菌の検査
採血や腹部エコー:他疾患との鑑別が必要な場合に実施
内視鏡検査では、鎮静剤を使用することで、眠っている間に苦痛なく検査が可能です。
「胸やけ=逆流性食道炎」と思い込まず、一度しっかりと評価することをおすすめします。
胸やけが続くときは、我慢せずにご相談を
胸やけや喉の違和感が続くとき、「体質だから…」「そのうち治るだろう」と自己判断で放置してしまう方も少なくありません。
しかし、逆流性食道炎はきちんと向き合えば改善が期待できる病気です。
また、その裏にがんなど重篤な疾患が隠れていることもあるため、症状が続くときは医療機関での評価が大切です。
当院では、消化器内科・内視鏡専門医が一人ひとりの症状に合わせた検査・治療をご提案しています。
まずはお気軽にご相談ください。
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